肘の使い方に対する考え方

先日講座に来られた方が「拇指で押すと指が痛くなってしまって肘に頼ってしまうんです」とおっしゃっていて、普段の肘の使い方を実践していただきました。
受けてみると、これがまぁお上手。
圧の乗せ方やタイミングにも変な癖がなかったのでそのまま続けてみていいのではないかと思いました。
ですが、気になったのが肘を使う”理由”です。
肘や腕で施術をする理由
皆さんはどのような時に肘を使っていますか?
"強く押したいとき”
"硬いとき”
"指が痛いとき"
このような場合に肘を使うという方も多いのではないでしょうか?
筋肉が硬いから、もっと強く押してとお客様の要望があったので肘を使用するという事は逆に言うと指では強く押せないということなのではないでしょうか?
肘を使わなくても指でも強く押す事は可能です。
指が痛いという場合は指の使い方が間違っているのではないかと思います。
個人的な見解ですが、強く押すためや指の温存のために肘を使うのではなく、肘を使う必要がある場面で肘を使うというのが肘の正しい使い方なのではないかと思います。
いつ肘を使うの?
では、肘を使う必要がある場面とはいつなのでしょうか。
それは単純明快で指よりも肘を使った方が効率的な場面です。
例えば、下肢や臀部など大きな筋肉をほぐす場合。
指で圧えることが出来る面積と、肘や前腕等で圧えることが出来る面積では圧倒的な違いがあります。
大きな筋肉が対象となる場合は面積の大きな前腕を使用した方が一回で広い範囲をほぐすことが出来るので効率が良くなります。
臀部の場合は肘が有効となる場合があります。
それは臀部の形を見た時に肘が上手くハマるようなパターンがあり、この場合も一度で広い範囲を圧える事に繋がるので効率的になり、更に肘の場合は角度を変える事で圧痛の強弱のコントロールも出来るため指よりも効果的となるのです。
「強く押せるから」ではなくて「肘ならではの圧」を加えることが出来る。
そのために肘を使うことが出来れば施術の幅も広がる事でしょう。
これは指や手根など他の部位にも言える事です。
また、部位によっては指だとピンポイントで効き過ぎて「痛い」と感じられる場合に感触をマイルドにする意味で肘または前腕を使う場合もあります。
体の使い方を考える
先ほどの「指が痛いから肘に頼ってしまう」という事への心配はこの点なのです。
指が痛いという事は正しい指の使い方が出来ていないという事ですよね。
正しい使い方が出来ていない状態、何故指が痛むのかが改善していない状態で肘を使ったとしても恐らく正しい使い方が出来ていない状態で肘を酷使する形になるでしょう。
そうすれば今度は肘や腕に無理な力が入りすぎてそこが痛んでしまう可能性があります。
肘の方が使いやすい場合はもしかしたら肘を使うときには正しい使い方が出来ている場合もあると思います。
その場合はその使い方を指に応用すれば指が痛まずに施術が可能になると思います。
どこを使うにしても、どこを押すにしても基本は全て同じなのです。
その部位ならではの圧・対象との相性・力のコントロールのしやすさ
これらを考慮して使う部位を考えてみるといいかもしれませんね。
肘や腕、または膝など拇指以外の使い方の基本を知りたいという方はぜひ一度講座を受講されてみてください。
何かしらのヒントになるのではないでしょうか。
※この記事は2019年1月21日に公開し、2022年9月22日に加筆・修正をして再投稿しました。